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孵化脱出時の障害


2005年度の孵化脱出の障害例です。
親ガメの上陸時には埋もれていた消波ブロックが、稚ガメの孵化・脱出時には露出してしまったケースです。春先から夏にかけては堆積傾向にある砂浜が、晩夏を迎えると低気圧や台風、または高潮・潮位変動から砂浜は減少傾向に向かうようです。ちょうど、その減少時期に孵化・脱出時期と重なる事がこのような問題を起こしている一要因となっているのかも知れません。

特に見て頂きたいのが、稚ガメの走破力です。実は多少の轍やゴミなどはまったく物とせずに進んでいるのが見て判ると思います。このケースでは消波ブロックの僅かなすき間さえ通り抜けています。親ガメ(体格・体重が違いますが)よりは遙かに超えた能力を持っているということです。稚ガメはひっくり返ったとしても復帰は前ヒレを使って上手く行いますし、かなりの障害物を乗り越えます。(当然自然界には余り無い垂直壁は無理です)

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翌朝まで残留してしまった稚ガメ。コウボウムギに絡まっても直ぐに這い出します。

 これは稚ガメの本来持っている能力です。自然孵化時の脱出には稚ガメは一定期間(約24時間)に於いて活性化(フレンジー)します。これは夜間に海に向かって沖の海流に達する時間とほぼ合致しています。活性化して外敵に見つかりにくい時間帯に一気に安全圏に行ってしまおうとする生態が持っている本来の力なのでしょう。しかも、この脱出期間に於いては稚ガメは地磁気などを把握するなど学習期間でもあると言われています。

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夜8時に脱出する稚ガメ。自然な状態です。

また、何故に夜間に脱出を行うのかも知っておく必要があります。
まず、容易に考えやすいのは外敵からの目です。実際の海岸ではトビなど大型の猛禽類からカラスなどやカワウなどの存在があります。このような野鳥は日中の活動ですから、視野をフルに使って獲物を探します。夜間はこのような捕食者から逃れる事が可能です。また、日中は砂浜の表面温度も高いのです。稚ガメの孵化時期は陽の照射で表層の砂は高い時は摂氏70度近くにもなります。小さな肢体の稚ガメには大変な負荷が掛かる訳です。
そのように自然界の中で、生態は生き延びる道を自ら見出しているのですから、よほどの検証をしなければ、人の都合で脱出時間を変えるのは保護としては如何な物なのでしょうか。

 この様な生態の持つ力を、把握しないで日中に放流会などで保護活動として行っても、実際には生態の力を失わせている、己よがりの保護活動となってしまってはいないのでしょうか。
教育目的と言え、大規模、克つ定期的に行われるような傾向にある放流会はウミガメの保全とは言えないようです。しかも、人の活動時間帯で行われるイベントで行われる事は稚ガメの活性化を削ぐ事になります。子ども達の手から数百匹放流しても、ほとんどが魚や野鳥に捕食される可能性が高い訳です。大人達の都合で慣例化されていないのか、再度見直す必要があります。
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写真は消波ブロックに捕らわれていた残留稚ガメです。本来ならばこのような明るい時間には帰海しません。

参考サイト:日本ウミガメ協議会
やめよう 子ガメの放流会より

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