- 2008-10-26 (日)
- 海岸の生物多様性 | 表浜ネットワークから | 表浜海岸のニュース

今年はお隣の韓国で「ラムサール湿地条約COP10」が開催される湿地条約年です。
表浜ネットでは是非ともこの美しい砂浜海岸「表浜海岸」を湿地条約締結したいと願っています。砂浜という湿地の重要性を理解深める為に、そしてアカウミガメを代表する海岸線に生息・活動する生態系の保全と地域の文化(地引き網など)も含めて保全できればと考えています。その想いは「表浜まるごと博物館構想」にまで繋がります。
ラムサール湿地条約COP10に向けて
表浜海岸

表浜海岸の締結に向けて
・湿地としての表浜海岸
表浜海岸は遠浅の砂浜海岸です。長く続く砂浜海岸であり、その背後には照葉樹林の連なる特異な隆起によって形成された海岸であります。その稀少な自然環境下では様々な海浜植物や生物が生息しています。また自然に恵まれた海岸線には伏流水が流れ込み、沿岸砂州との働きで沿岸のシラスなど漁業資源を支えています。
表浜の海浜環境の指標生物アカウミガメ

渚に打ち上げられたシラス

地引き網漁。沿岸の機能がしっかりと働いてこそ恵みが得られます。

みんなで引くから楽しい地引き網漁「表浜おいでん祭」から。

マダカやサワラなど大物も掛かります。

干潮時に現れた砂干潟。

潮干狩り

海からの恵み

海はこちらが何も要求しなくても恵みを与えてくれます。

Hガニと呼ばれるヒラツメガニ。身は甘くて美味。

船には山積みのナガラミ。豊かな海の証し。

釣り人も


釣果に満足。大きなヒラメです。

・沿岸域の働き「砂浜と沿岸砂州」
砂浜は沿岸に形成される沿岸砂州(サンドバー)と柔軟に陸地と海の緩衝的な存在であり、様々な循環環境を築いています。台風など波浪時には前浜(汀段)から沿岸砂州に砂が移動し、砂州で砕波するおかげで、遡上する波は緩和されます。そして緩やかな斜面を持つ砂浜で緩やかに波の力を吸収します。もともと自然の砂浜には防護能力が備わっているのです。また、砂浜は沿岸流などの海流によって富栄養化した海水を沿岸の砂浜にて自然の濾過機能をも果たして、私たちには自然からの恵みを与えてくれています。
潮位変動によって出来上がったタイドプール

前浜は常に変化し、沿岸砂州と共に波浪に対して重要な働きを行います。

日本の砂浜が消えつつある中、表浜海岸の砂浜は天竜川という豊かな流砂系によって辛うじて保たれている。だからこそ貴重なのです。

沿岸流によって運ばれる漂砂と季節風で運ばれる飛砂で形成されいる自然の砂浜。隆起も含めれば長いスパンでの循環環境と言えるのでしょう。

様々な生態系を支える砂浜海岸
・砂浜(海浜)の生態系
砂浜は一見すると何も変化も無く、生物が存在しないような錯覚に捕らわれます。しかし、それは間違いで、実は外洋に面した変化の激しい環境下であり、なかなか姿を見つけにくく観察も困難なのが原因となっているようです。しかし、砂をいったん掘り下げてみるとハマトビムシなど様々な生物が生息していることに気が付きます。もちろんアカウミガメのような生態もこの砂浜によって支えられているのです。
波打ち際を良く見るとスナホリガニなどの生物が沢山活動しています。

砂浜の濾過器的な役割をするハマトビムシ

ホヤに群がるハマトビムシ。このような分解する生物がたくさん生息する浜辺。

姿が砂地に同化しているスナガニ

漂着した様々なホヤ・ユムシなど浅瀬の生物。

タイドプールで構えるクロベンケイガニ

産卵を終え、ゆっくりと緩やかな砂浜を海に向かって進むアカウミガメ。

命の源の海。そして砂浜は新しい命を繋ぎます。

渚を走り回るミユビシギ。砂浜の生物を捕食しています。



浜辺で休息するセグロカモメ

海上から一気に海に飛び込むコアジサシ。

表浜海岸の丘陵

夏の丘陵

表浜独特の地形。海食崖。

砂丘から海食崖に繋がる。

豊かな照葉樹林がさらなる様々な生態系を繋ぎます。

丘陵を飛び回るノスリ

表浜の海上からボラを狙うミサゴ

トビでさえ、自然の中にいる表情が違います。

豊かな海浜植生。

渥美半島のハマユウとハマゴウ群落

砂丘の春。ハマヒルガオやハマエンドウが春の鮮やかさを彩ります。

黄色い花が鮮やかなハマニガナ

砂丘を保全するには、もっとも重要な海浜植生のコウボウムギ

海浜の生態系を支える豊かな砂浜、それが表浜海岸。

湿地としての砂浜干潟

光の加減で様々な様相を見せる砂浜湿地。

表浜の広い海岸線は日の出から夕日まで演出します。日の出。

丘陵に沈む夕日

表浜には多様な関わり方があります。
自然だけではありません。表浜に関わる人々も含めてラムサール条約に。
気ままなスタイル。

地引き網は地元の大切な文化です。

午後の浜辺で安らぎに

海に楽しみを感じる。


ラムサール条約湿地分類
表浜海岸の分類
・海洋沿岸域湿地
A.低潮時に6メートルより浅い永久的な浅海域
E.砂、磯、中磯海岸、砂州、砂嘴、砂嘴性島、砂丘系を含む
地形的に海食崖や丘陵からの伏流水も豊富であるため、広範囲に該当します。
この貴重な海浜環境こそ、湿地として目を向けられるべきであり、四方を海に囲まれた日本だからこそ、原風景でもある砂浜海岸の保全を進めるべきと考えています。
そこで表浜ネットワークではこの表浜海岸をラムサール湿地条約締結に向けて、活動を続けてきました。ラムサール湿地条約の概念であるワイズユース(湿地の賢明な利用)こそが、表浜ネットワーク創立者である加藤氏が提唱していた概念でもあります。表浜の自然からここで生活する人々までもが「表浜まるごと博物館」です。
ラムサール湿地条約のワイズユースとは「表浜まるごと博物館構想」
表浜ネットワーク 創立者 加藤 弘
浜名湖以西の遠州灘海岸全体を「博物館」とみなし、砂浜や海だけでなく、その後背地も含めた自然環境や景観、地域の歴史や文化、産業、暮らしなどの価値を再発見・再認識し、よりよい形で未来に残して行く為のシステムです。既存の博物館や観光施設のみならず、ごく普通の里山や田畑、あるいは砂浜をはじめとした地域内において、「 住民一人一人が主役」となり、地域の資産を再発見し地域を訪れた人々に広く紹介していくことによって付加価値を高め、地域を活性化させ、持続可能な発展をも目指す欲張りなアイデアです。
この博物館の「展示品」は、1ヶ所に集められるだけでなく元来あったところであるがままに「見る」対象として、また「触れる」「聞く」「食べる」「香りを楽しむ」など「体験する」モノとしての性格を持ちます。今までの様な一ヶ所に集中させたハコモノの博物館とはちがって時間と空間を越えた事象を対象とした(地域が形成されてきた過程や自然・文化・歴史・産業など地域の成り立ちや、地域に分散した遺産や資源を現地において公開する形の)博物館と表現する事ができます。もちろん、地域内の拠点施設ともいえるセンターも必要になってきますが、そこで各地の資産のネットワーク化をはかることが特徴になります。海、山、川、浜、水田、池などを全部まとめて連続した生態系そのものを屋根のない博物館にしてしまおうという1つのアイデアを中心に、地域の歴史や文化、産業、暮らしなども含めて地域社会そのものをより良い形で未来に残して行く方向性を持って地域(産官学民)を動かせないかという話です。本当は何もしないのが一番良いのですが、このままでは未来に良い環境を残せそうにもありません。
四国に「砂浜美術館」*1) という見本はありますが、もう一歩踏み込んで表浜とその後背地も含めた自然環境そのものを後世に残して行くという事で、ネイチャーセンターを1つの核にした住民参加の自然環境維持型でまちづくりが出来ないかという方向性を(産官学民)みんなで共有していくというアイデアです。今まで破壊型リゾートではなく保存+研究拠点型です。図書館なども入れて表浜生態系に関する情報も蓄積できたらと思っています。 基本的な方向性さえしっかりしていらば若干の観光資源にもなると思います。
四万十川の近くにあるトンボで有名な中村 *2) はごく普通の休耕田を利用しています。表浜なら休耕田に海と山、それから砂浜にウミガメがセットでついてくるのですから魅力的な自然環境なのになぜ人はそれを破壊しようとするのでしょうか。今あるものをそのまま隣接区域とセットで残すだけで価値のあることだという方向で出来れば成功する可能性があるのではないでしょうか。欲を言えば少し前の状態に戻す方に公共事業の方向性を変える事が出来れば、もっと良いでしょう。今ある自然を残すのが基本ですから、ほとんどの市民は今まで通り何もかわらない生活をおくれますし、産官民の二人三脚、三人四脚を実現させるのです。
表浜の自然環境の未来について本音で考えてみませんか。世の中なかなかうまく行きませんが、表浜ネットワークをつくった本来の意味というか「それぞれの人が、それぞれの立場で」協力しあえばやれるのではないでしょうか。
表浜ネットワーク 創立者 加藤 弘

10月25日から韓国で始まる「2008 ラムサール湿地条約COP10」には表浜ネットワークは2名を韓国に派遣し表浜展示ブースを出展致します。
この取り組みは今回だけでは終わらない目標としています。
今後、ラムサールへの取り組みは引き続き、この表浜ブログにて報告を続けて行きます。
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