- 2009-07-06 (月)
- 表浜のウミガメレポート

桜丘高校から東京海洋大学へ進学した”匿名希望(18)さん”より、参加した勉強会のレポートが届きました。
せっかくなのでブログにアップしていい?と聞いたら快諾でしたので、掲載します。
開催日:2009年7月1日
講師:花輪伸一氏(WWFジャパン 自然保護室 主任)
主催:東京大学大学院 総合文化研究科 清野研究室
勉強会の内容のながれ
1. 沿岸域(特に干潟)の開発
2. 諫早湾のセマングムの干拓
3. 湿地とラムサール条約
4. ラムサール条約COP10とNGO活動
現在、干潟などの沿岸域は持続可能な利用を考えなくてはならない。
以前のような「保護区を設定して人又は野生生物を排除」のような考え方は通用しなくなってきた。
1. 沿岸域の開発
① 三番瀬(船橋市)・・・沿岸の形が開発によりのこぎり型になっている
② 藤前干潟(323ha)・・・ゴミ処分場の建設計画があったものの、地元住民の強い反対によって中止に。ラムサール条約にも登録され、自然学習の場にもなっている。
③ 博多湾人工島(401ha)・・・一部下水が海に流れ込んでいる。しかし、水質検査では悪い結果は出ていない。
④ 泡瀬干潟・・・浚渫土砂を干潟に埋める計画。地元住民反対の為裁判が行われ、県と市に対し差し止め命令。しかし、国を訴えることは出来ないため、完全な工事中止には至っていない。工事そのものは事実上ストップしている。☆地裁程度では住民も勝てるようになってきた…
>>諫早湾干拓
目的:稲作→防災(高潮・低平地 水、河川氾濫 ・・・大規模な公共事業が行われた
1986年に工事が着工し、1997年に堤防が完成し、堤防は閉めきられた。
影響:のり養殖の不作、赤潮の発生増加(以前は赤潮が発生する地域ではなかった)、干潟漁業の深刻な損益(種によっては漁が出来ないものも出た)など
具体的には 汚濁水の混入、河川水輸送変化、密度清掃の強化→赤潮の激化、貧酸素(青塩)、低質の泥化、それに伴う海水の透明度上昇(本来の有明海は茶褐色)
NGO活動として
目標 諫早湾再生の再生と有明漁業の復活
目的 水門の常時開放
中長期開門調査の実現
裁判の勝利
活動としては、行政干渉、要請、調査資料の分析、裁判・公害調停支援、各種広報、その他
主な団体:「有明海漁民・市民ネットワーク」参加者は漁民、市民、科学者、弁護士など
また多数の湿地NGOとも協力
○ 潮受け堤防アセスについて
農水省推進型のプランと、地元NGOプランの差
農水省は、開門までに6年かかると計画しているが、市民ネット側は1年で実現できると提案している。
農水省型: 農政局アセス-3年→県知事等関係者意見 合意の場合は農業・防災対策で3年を要し、その後開門調査を行う。→6年以上かかってしまう。
NGO型:協議会アセス→小規模開門→開門拡大→常時開門 →1年で行う。
市民ネット側としては、十数年に及ぶ既存資料が膨大にあるため、アセスは数ヶ月行えば十分であるとしている。しかし、国としては中々飲み込まない現状がある。
レジュメより一部抜粋
干潟の保全にむけて
・ 「公有水面埋立法」を廃止し「公有水面保全法」を制定する
・ 環境アセス制度の改正(戦略アセス、代替アセス、対象事業、面積etc…)
・ 自然再生法の適切な活用
・ 海岸基本法、海岸法、河川法、港湾法、漁港漁場法などの関連法の点検
・ 統合的沿岸管理の導入
・ 廃棄物・浚渫土砂、ゴミによる埋立の抑制
・ ダム堆砂の放出
・ 川砂、海砂の最終の抑制
干潟保全の原則
① 既存する干潟は保全し、賢明な利用を図る
② 環境悪化した干潟は、原因を究明し修復する
③ すでに消滅した干潟は、できるだけ復元する
④ 流域全体の視点で干潟の保全を考える
⑤ 地域住民、利害関係者、専門家が参加する
⑥ 開発は、計画アセス、戦略アセスを行う
韓国の湿地問題
NGOの視点
・ 重要湿地の破壊(シファ湖、インチョン、セマングム、ナクトンガ江など
・ 「沿岸域開発法」
・ 大運河計画
・ 形式的なラムサール登録(小規模湿地)
・ 2,550平方km(50%)減少
問題点 「湿地保全法」において
開発の公益性は政府が行う→民意が反映されない
開発部局の調整機能、権限がない
基本法で実施計画の義務がない
・ アセス制度の後退
・ 民間の参加がない
・ 審議会の統廃合
ラムサール問題では、多くの湿地のガイドラインが各地域で制定され、決議もなされてきた。
NGO活動では、声明発表、レポートの作成で本会議に影響を与え、政府や自治体、他のNGOへも意見を広げるきっかけとなる。他にも、NGOルームの運営、イベント、ブース展示、エコツアーなどの活動や、事後活動として報告会や決議翻訳などもある。
また、NGOの成果も多くあり、特に日韓の湿地NGOの連携が取れたことが大きい。また、WWNの設立や参加者自身の啓発にも繋がった。日本では「ラムサール・ネットワーク日本」が設立されるなど、影響は大きかった。
来年にはCBD・COP10/MOP5 国際生物多様性年であり、どのように活用されるかが期待される。環境だけでなく、人権・平和(環境悪化→貧困→治安悪化→内戦→戦争の負の循環が起こる)も関わるため、特に日韓湿地NGOの連携がより重要といえ、強化が必要。
匿名希望(18)さんお疲れ様でした。
非常に参考になりました。
Comments:2
- suki 2009-07-10 (金) 14:54
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ナイスリポートですね。
こうして表浜NWは、全国各地へと諜報部員を送り込んでいくんですね(笑)
欲をいえば、勉強会の開催日時と後援者名の情報が欲しいところですね。
次回も期待します! - 貧相な海老蔵 2009-07-10 (金) 16:08
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ナイス突っ込みです!
追加しておきました。表浜ネットワーク諜報部とかつくっちゃいますか(笑)