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アカウミガメの保護って?

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アカウミガメの保護って、何が大切か今一度、考えてみましょう。
「孵化場」「放流会」は果たしてアカウミガメの保護に結びついているのか?
できるだけ、アカウミガメの保護の在り方を分かりやすく解釈してみますね。
少し、お付き合いください。

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アカウミガメの保護って、何が大切か今一度、考えてみましょう。

では、できるだけ、アカウミガメの保護の在り方を分かりやすく解釈してみます。

【アカウミガメは野生動物】

まずはアカウミガメは野生動物であるというところですね。意外と接するとき、忘れがちになります。でも、とっても大切なこと。アカウミガメは野生動物なんです!

私たちからは、台風で激しい波が来たりすると、とても厳しい自然と考えてしまうけど、アカウミガメは厳しくとも、大きな大きな荒れることも含めた広い海洋を生活に利用してきたのです。

そのダイナミックな生活圏を持つ、アカウミガメの様な野生動物にとっては、人の観念の押しつけのような保護は適さないのではと感じます。私たちが手助けできることは、安易に手を出すのでは無くて、奪ってしまった環境を返すこと。

例えば、私たちが保護として出来ることはアカウミガメが自然の中で、しっかりと自立・生存が持続可能な状態でしょうか。アカウミガメが決して人に頼ること無く、生活し、持続出来ること。なぜなら人はいつまでもアカウミガメに付き合って行くことも出来ないし、飽きたりして辞めてしまうこともありますからね。(笑)
だから、やはり、アカウミガメが自立的に生存出来る基盤環境が必要なのです。

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自然はとても厳しいのですが、その自然の中で脈々と約5億年ほど、続いていると言われるウミガメの生態は生き続けることが出来たんですよね。例えば、地表が割れるようなパンゲアという大きな地殻変動の時期もあったでしょうし、全てが氷の世界という氷河期も経験してきました。それでもウミガメという種は持続してきたんですねぇ。

さて、それがヒトが今から700万年ぐらい前に出現して、現在に至るまでのわずか50年ぐらいで、一気にアカウミガメは数を減らしてしまったようです。

減少の理由は、やはり、私たち社会の圧力、混穫や砂浜の開発など、私たちヒトの社会活動によってです。

そこで、アカウミガメの保護は、やはり奪ってしまった環境を少しでもウミガメに返してあげることだと思いませんか?まずは親のアカウミガメが安全に産卵出来る環境を返してあげること。

例えば、親のアカウミガメは産卵期には2〜3回は産卵します。しかも、1回の産卵で100個前後のたくさんの卵を砂浜に産み付けるのです。これはたくさんの命を生産してくれていると言うことなんですね。親のアカウミガメは。

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その親アカウミガメが産卵しやすい、砂浜を少しでも返してあげること。

【子ガメを一匹でも救いたい?】

あと、子ガメを一匹でも救いたいと言われる方もいます。
可愛い子ガメなんで、気持ちはよく判ります。

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でも、子ガメの生存率は、厳しい自然の中では、著しく低いのです。
よく、子ガメの生存率が1/5000とか言われていますが、この数字はまったく根拠がありません。なぜなら、月までロケットが飛ばせたはずの時代でも、未だに子ガメの追跡は出来ていないと言って良いのです。
たった、20グラムぐらいの子ガメが大きな海洋にでてしまうともう、どこに行ってしまったのか、追えないのですよね。小さいですもん。
だから、安易にこの1/5000という数字は信じない方が良いでしょう。

子ガメは各ステージ(段階)で生存率が変わることは判って来つつあります。
自然の砂浜では孵化率はこの表浜では約60〜70%ぐらいでしょうか。これは子ガメの成長過程を考えると、この数字でもかなり生存率が良いほうではないのでしょうか。ふ化するまでは自然(砂浜)に任しても大丈夫ということです。いや、逆に自然の砂浜だからこそ、環境に適した状態に整えると考えても良いのでしょう。アカウミガメは孵卵時の砂中での体験温度で性比が変わります。臨界温度29.5度を境に、それより高いとメスが多くなり、低いとオスが増える。この仕組みはとても面白いですね。なぜなら温暖化すれば生物が沢山生産される=生存競争が増える。この状態で種を存続させるには、確かにメスの増加が効果的。逆に寒冷化した場合、オスが増えることには環境の厳しさ故に、生き残る能力が大切ということなのでしょうか。確かにアカウミガメの生存の戦略は強かです。だからヒトが勝手に均一な環境に押し込めることは、余計なお世話ってことなんでしょう。

砂中の体験温度で変わる性比
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話を戻して、大切な疑問。どこで子ガメがたくさん命を失っているか??
それは、子ガメを襲う(捕食)する外敵が多い環境だと思われます。
海洋の8%は水深200メートルほどの浅海域です。実はこの僅かな領域に、海洋の生物のほとんどが生息しています。これはどういうこと? と言いますと、子ガメの外敵がもっとも多い領域と考えて良いでしょう。

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子ガメは、この浅海域でスズキやサメなど大型肉食魚などに、ほとんど食べられてしまいます。(口の悪い学者に言わせると、子ガメ放流会はスズキの餌付けだとも言われています)

【子ガメの興奮期と大切な生き抜く能力】

だから、子ガメは自分の能力をフルに使って、この外敵の多い海域を、一気に抜けようとするのです。(これがフレンジー(興奮期)ですよね)
だいたい、24時間ぐらいしか、この能力(フレンジー)は続きません。
だって、それ以上興奮していたら、逆に子ガメの体が保ちません。お腹には1週間ぐらいは何も食べなくても良い、弁当(卵黄)も備えています。でも、これも1週間しか、保ちません。

興奮期の持続
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そして子ガメはふ化して、砂浜から脱出すると同時に、さまざまな機能を習得すると言われています。まあ、子どもはたいがいはそうですよね。吸収は真綿のように早いんです。
ここでいろんな五感を使って、海洋を渡り抜くための地磁気など方向性などを得ると考えられています。

子ガメの走波性・波定位(沖に向かう意欲の喪失は子ガメにとっては死を意味する)
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浅海域を無事に抜けると、そこは大洋です。外敵も少ないけど、食べ物も少ない海域ですが、エネルギーを使わないように黒潮や黒潮続流に乗って北太平洋対岸の海まで成長の旅を続けます。

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こんな格好で、浮いている種子を真似て、外敵の目を欺きます。

さらに、なんで、対岸のアメリカ大陸沿岸まで旅するのでしょう。
それは地球が、偏西風をもとに、海流が大きく、西から東へと流れているからです。
その海流が大陸棚に突き当たると、湧昇流が生じて、海底に溜まった栄養豊富な養分を海表面近くにまで押し上げ、植物プランクトンから動物プランクトンやアミなど、たくさんの食べ物を育んでくれます。その食べ物をたくさんの魚やさらに大きなシャチ、クジラ、アザラシ、もちろん、成長過程のアカウミガメも食べるのです。

ここで疑問が?

だったら最初からアメリカ大陸で産卵すればいいじゃんって誰でも思いますよね。
しか〜し!食べ物がたくさんということは自分も食べ物とされるということも言えるのです。
外敵である、サメやシャチはこの海域にたくさん生存しています。そこで日本から旅をしてきた成長過程のアカウミガメは彼らにとっては食べにくい大物に近い。だから長〜い旅を経て、少しずつ、食べにくいサイズにアカウミガメは成長しながら、食べ物豊富な海域に来るのです。

北太平洋域のアカウミガメの成長の旅
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この海域で何年も、アカウミガメは食べ物を食べまくって成長します。
面倒だから、ここで産んでしまおうと横着なヒトならそうしてしまうのでしょうが、アカウミガメは律儀に、日本の砂浜を目指すのですね。

やはり、ここでは外敵が多すぎるということで・・・・。

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さて、ここまで子ガメが成長するのに20〜30年もかかっています。
果たして、一匹の子ガメを日本の砂浜で救ったところで、どうなんでしょう。
アカウミガメの個体数は果たして増えるのでしょうか。限りなく、しかも、何十年もかけて、一匹のアカウミガメが生存する可能性はまったくと言って良いほどゼロに近いほど、保証出来ないのです。

【子ガメが身に付けなければいけない大切なこと】

さらに、子ガメは沿岸から浅海域を渡り抜けるのに、さまざまな能力を身に付ける必要があるのです。ヒトが勝手に「そんなこと知らないから」と言って、安易に囲ってしまったり、放流したりすることは、どうなんでしょう?

何も知らない、箱入り娘を、世間の荒波に放り投げます?
どの親でも、身に付けて欲しい知識を与えますよね。ヒトの場合はそれが教育でしょうか。
アカウミガメは親は子ガメの面倒を見ません。
ヒトからすると、冷たいなあ〜と思われるでしょうが、アカウミガメにすれば、だったら大きな海洋を泳いで渡ってから言えよ!ってことになるのです。アカウミガメは子どもの頃に、自ら環境に応じて学ぶ能力を身に付けています。

長〜い年月を得て、このようなアカウミガメの成長過程が作られてきたのです。
孵化場や放流会は、子ガメにとって重要な学ぶ機会を奪ってしまっているのです。

それをヒトが「勝手に可哀相だから」とか「子ガメを一匹でも救いたい」なんて思うのは気持ちいいだけで、独り善がりでしょう。

子ガメを目が届く、波打ち際まで送ればいい、アカウミガメにとっては、果たして良いことなのでしょうか?

【最善な保護は砂浜を返してあげること】

やはり、アカウミガメの生態はまだまだ分からないことばかりです。
少しでも、アカウミガメなどの他の生態を理解すること。
そして、私たちが奪ってしまったアカウミガメを支えてきた環境を少しでも返してあげること。これが大切では無いのでしょうか。

安易に「孵化場」「放流会」で子ガメを守ったよ!というのは、実感があって気持ちが良いかも知れません。でも、子ガメは大切な生き抜く能力を失ってしまっているのです。

やはり、野生のアカウミガメということを少しでも理解して、少しでも親のアカウミガメが安心して産卵出来る砂浜を返してあげましょうよ。

それが私たち、ヒトが出来ることではないのでしょうか。

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Comments:1

n/a 2010-09-04 (土) 08:19

ウミガメで商売している、

浜松の某団体代表者に読ませてやりたいです。

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